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通勤手当の不正受給に際して企業が懲戒処分を検討する場合の対応

通勤経路が変更され、通勤手当の額が大幅に減額されていることになっていたはずなのに、これを申告せずに、余計に受け取っていたケース。そこでは、通勤手当の不正取得が疑われますが、その前提として、事実関係の確認が必要です。

まず問題となるのは、従業員がいつ転居したか、です。転居した理由、タイミング等を詳細に事情聴取を行い、本人の供述が信用できるのかを検証していきます。また、住民票を変更しているのであれば提出させます。

損害額の確定では、申請している通勤経路に対応した交通費と現在の最寄駅から会社までの通勤経路の交通費の差額が1日当たりの損害額になります。

問題はこの損害がいつから発生していたかですが、これについては、事情聴取で確認することになります。たとえ従業員本人が供述するよりも前から転居していたのではないかと疑問が生じても、それについても裏付けがなければ、従業員が主張する開始日を前提に損害額を算定せざるを得ません。

また、単純に届け出を忘れていただけであれば、その行為自体は悪質とはいえませんが、浮かせた手当をギャンブルや生活費等自分のために使っていたのであれば、動機においても悪質といえます。

通勤時間が長時間かかるため近くに転居したいと考えたということは、理由にはなっても、情状において特に有利と扱うべき事情ではありません。そもそも住居をどこに定めるかは、従業員が自由に判断すべきことであり、職場から遠距離に自宅を構えたとしても、それは従業員の自由な意思により決定されたものであり、これによって通勤時間が増えたとしてもそれは従業員が当然に受忍すべきであるからです。

不正取得が発覚した後、従業員の反省の度合を示すものとして最も重要な要素は、弁済の意思表示です。少なくとも弁済の意思があることは、反省していることを示す事情になりますし、実際に弁済されれば、損害額が減少するため、懲戒処分の程度にも影響を与えます。さらに、損害額が小さくなれば、刑事上の処分を求めることは事実上困難になります。

また、発覚後の企業の調査に協力的であるか否か(過去の事例について誠実に事実を述べる、流用して購入した物品のレシート等を提供する等)も、反省を示す一つの材料です。

仮に企業の管理体制が不十分であったとしても、不正取得をしてはならないことに変わりはありませんが、管理体制が不十分であった場合は、企業側にも落ち度があったと言われやすく、相対的に従業員の責任を軽減する方向に働く可能性があります。また、発覚した従業員以外にも複数の従業員が不正取得を行ったのであれば、個々の従業員の問題だけでなく企業の管理体制自体に不備があったと考えるべきです。

不正取得は、企業の重要な資産に手をつけ、企業に直接的な損害を与えるものですから、金額の多寡にかかわらず、重大な背信行為に該当しますので、処分としても懲戒解雇をはじめとする重い処分を中心に検討することになります。もっとも、通勤手当の数カ月間の不正取得は、一般的な通勤手当の額を考えればそこまで多額とはいえませんし、従業員が弁済を申し出ているのであれば、情状としても重い処分は難しいと考えられます。

従業員以外にも複数の従業員が通勤手当の不正取得を行っているなど企業の管理体制の不備が指摘され、損害額が軽微であること等を考慮すれば、今回は弁済を条件に不問に付すこととし、その代わり「通勤手当の不正取得は認められないこと、通勤経路が変更される場合はその都度報告すること、通勤手当の不正取得は懲戒処分に処することがあること」を改めて周知徹底し、将来的な不正取得を予防することも、選択肢の一つと考えられます。(岡本)

 

 

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