最新情報

TEL お問い合わせ ご契約内容・
報酬基準

カテゴリー:

労務

裁量労働制適用者のテレワーク時の勤務時間についての指導・注意は具体的な指示に当たるか

裁量労働制とは、業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要のある一定の業務について、法所定の手続きを経たうえでみなし労働時間数を定めた場合には、当該業務を遂行する労働者については、実際の労働時間数に関わりなく定めた時間数を労働したと「みなす」制度のことをいいます。裁量労働制には、専門業務型と企画業務型の二つの制度があります。

このとき、会社は、裁量労働制が適用される従業員に対して、他の従業員の勤務時間中に当該他の従業員からの連絡に応じるよう指導できるかの相談がしばしばあります。制度の導入および運用において、一定の事項については、当該対象業務に従事する労働者に対して、使用者が「具体的な指示をしないこと」とされています。そして、これらの規定において使用者が具体的な指示をしないこととされている対象は、「対象業務の遂行の手段の決定」と「時間配分の決定」です。そのため、裁量労働制が適用される従業員に対して「勤務時間中に同僚が連絡のつくようにしなさい」などといった指導・注意が、「時間配分の決定」に関する「具体的な指示」に該当するかという相談です。

厚生労働省の通達では、「時間配分の決定には、始業及び終業の時刻の決定も含まれる。また、業務量が過大である場合や期限の設定が不適切である場合には、労働者から時間配分の決定に関する裁量が事実上失われることがあることに留意することが必要あること。また、対象労働者から時間配分の決定等に関する裁量が失われたと認められる場合には、労働時間のみなしの効果は生じないものであることに留意することが必要であること。」と述べています。

上記通達からすれば、裁量労働者は、時間配分の決定に関して一定の裁量を有していることが分かります。したがって、使用者は、この裁量を失わせるような指示をしてはならないことになります。他方、厚労省は告示で、以下のとおり述べています。「使用者が具体的な指示をしない、とされることに関し、使用者が労働者に対し、業務の開始時に当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、中途において経過の報告を受けつつこれらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは可能である。」

これらの告示からすると、裁量労働者は時間配分の決定について裁量を有しているものの、何もかも自分勝手に業務を行ってよいというわけではなく、むしろ一定の場合には、会社の裁量労働者に対する業務上の指示は許されることが分かります。

したがって、上記通達と告示を併せて考えると、裁量労働者が有する時間配分の決定に関する裁量を失わせない指示であれば、上記のような注意・指導は、時間配分の決定に関する「具体的な指示」には当たらないことになります。(岡本)

 

 

 

\大阪梅田で社会保険労務士をお探しの方はお気軽にどうぞ/
――――――――――――――――
■ 岡本社会保険労務士事務所 ■
大阪市北区・曽根崎・新地の社労士・社労士事務所
――――――――――――――――

 

ページトップへ