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解雇理由または退職事由に該当する事実があれば定年後再雇用をしなくて済むのか

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)の下においても、再雇用しなくてもよい場合として、①本人が再雇用を希望しない場合、②就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当する場合、③再雇用の条件が整わなかった場合、があります。

②では、心身の故障のため業務に耐えられないと認められる、あるいは勤務成績が著しく不良で引き続き従業員としての仕事ができない等、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢にかかわるものを除く)に該当する場合には、再雇用しないことができるとされています。

したがって、理論的には解雇事由に該当する事実があれば、再雇用しなくて済むことになります。しかし、素行不良や能力不足などの解雇理由はその立証が難しく、過去に問題行動があればその時点で解雇されていたはずであり、従業員からは、「解雇されないまま定年を迎えたということは、解雇事由があったとまではいえない」と、いわれそうです。

しかし、解雇事由があれば、その当時に絶対に解雇しなければならないものではありません。解雇事由があったとしても、紛争リスクや定年までの期間が短いこと等を考慮して解雇しないという会社の判断もあり得るからです。したがって、「無事に定年を迎えた=解雇理由がない」ということにはなりません。

定年間際になると、従業員側も再雇用を期待していることから、いきなり再雇用はしないと伝えると混乱が生じます。したがって、定年前6ヶ月を目途に、まずは本人の意向を確認します(そもそも従業員側も再雇用の意向がないかもしれない)。その際に定年後再雇用の希望があったとしても、「あなたは解雇事由に該当する事実があるので、定年後再雇用は会社としては現時点では考えていない」ということを伝えることになります。その際の従業員の反応を見て、会社側も対応を検討します。

従業員がこれを受け入れる場合もあるかもしれませんが、難色を示す場合もあるでしょう。その場合には、再就職のための支援を提案することも考えられます。例えば、定年前の一定期間は就労を免除し、再就職活動に専念することを認める方法などが考えられます。就労を免除し再就職活動を認める代わりに定年で契約が終了することに合意してもらうことになります。

ただ、実際には、解雇事由の存否をめぐって紛争になる可能性が高いため、「仮に定年後再雇用をするならこのような条件で」ということを伝えるのも方法の一つです。

定年前の問題行動(懲戒処分歴)や職務遂行の能力等を踏まえて再雇用の条件を提示し、そのような条件を受け入れるかどうかを話し合う方法です。定年前の勤務態度不良を、定年後再雇用をしないという理由としては用いないが、再雇用の労働条件を決めるうえで用いるという方法です。もちろん高年法の趣旨を否定するような条件提示は認められませんが、そもそも解雇事由に相当する、またはそれに近い事実があるとすれば、それらを加味して再雇用の条件提示をすることは否定されません。

したがって、そのような提示をしたうえで従業員が納得できないということであれば、定年後再雇用の条件が整わず契約不成立(定年で契約終了)となり、一方、合意すればその条件での再雇用契約が成立します。(岡本)

 

 

 

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