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降給を実施する場合、就業規則の「減額する場合がある」で足りるのか

評価に伴う賃金減額は、会社による評価に基づく一方的な賃金額の変更です。従業員に有利な変更であれば、会社が一方的にすることも可能です。しかし、不利益な変更であれば、雇用契約上、会社には従業員にとって不利益となる賃金額の変更権限があるかが、まずは問題となります。

また、会社にその変更権限があるとしても、その権限の濫用は許されません。そのため、評価に伴う賃金の減額については、①雇用契約上、評価に基づき賃金を減額する権限が会社にあるか、②その権限を会社が濫用していないか、を意識して、問題を整理する必要があります。

評価に伴う賃金減額に関する雇用契約上の会社の権限については、就業規則において、「評価が劣る場合は降給する」の定めで足りるのか、それとも、具体的な金額や幅・適用基準まで定めなければならないか、という論点があります。この点、「労働契約の内容として、成果主義による基本給の降給が定められていても、降給が許容されるのは、就業規則規則等による労働契約に、降給が規定されているだけでなく、降給が決定される過程に合理性があること、その過程が従業員に告知されてその言い分を聞く等の公正な手続きが存することが必要」とされています。

評価による賃金減額を考える背景には、数期にわたり最低ランクの評価を受けている従業員が、注意指導をしても賃金に見合う仕事ができていないので、賃金を下げなければ他の従業員に示しがつかない、といった事情があります。

しかし、賃金の減額は、従業員の生活にも影響を与えます。また、これまで賃金減額の実績がなければ、従業員に予見可能性がなく、紛争となる可能性があります。

そのため、どのような条件に該当した場合に、いくら賃金が下がるのか、という評価結果を根拠にした賃金減額の運用方針を定め、その運用方針を適用する前に、事前に従業員に通知し、就業規則化しておくべきです。具体的には、「その期の評価が△評価以下の場合は、基本給を〇〇円減額する」という方針を取るのであれば、その期が始まるまでに、その方針を従業員に周知し、就業規則に明記します。

まずは、減額の条件やルールに関する整備を先行させ、当期は該当者への注意指導にとどめて改善を促し、翌期に改善が見られない場合はルールどおり減給します。

そうすることで、事前に周知された運用方針に従い会社が対応することで、従業員は評価による減額を予見できるとともに、会社としても評価に伴う賃金減額で権利の濫用がないことを説明できます。(岡本)

 

 

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