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懲戒処分の前提として自宅待機を命じる際の留意点

懲戒処分としての出勤停止でなく、処分決定前の調査や処分検討の期間中に自宅待機を命じることがあります。このような自宅待機の措置については、①業務命令として、自宅待機を命じる場合と、②使用者が労働者の労務提供の受領を拒否している場合があります。

どちらか一方が正しいということでなく、事案によるということになります。自宅に待機していること自体を命じたのであれば、業務命令であり、単に出社に及ばずということであれば、労務提供の受領拒否となります。一般的には、労務の受領拒否に該当するケースが多いのではないでしょうか。

そして、いずれの場合にせよ、自宅待機について、就業規則上の根拠規定は不要です。まず、業務命令としての自宅待機については、業務上の必要性があればできることであり、横領行為に関する調査・検討期間中、本人は出社していたのであれば調査への支障もありますので、自宅待機の業務上の必要性があると解されます。

また、労務提供の受領拒否と解される場合も、使用者としては、労働契約上、労務提供を受ける「権利」はあっても「義務」はありませんので、労務の受領を拒否すること自体は特段の事情がない限り違法とはなりません。

処分対象行為がごく軽微であるのに、ことさら長時間自宅待機を命じるといった場合には、権利濫用や信義則違反などが問題となる余地がありますが、特段の事情のない限り、調査・検討に必要な相当期間、自宅待機をさせることができます。

ただし、賃金を支払わなくてよいかどうかは、自宅待機を命じることだできるかどうかとは、別の問題です。

まず、業務命令として自宅待機を命じる場合は、業務命令に従って自宅に待機している以上、賃金を支払う必要があります。次に、労務の受領拒否の場合、賃金を支払うべきかどうかは、どのような理由で自宅待機を命じたのかどうか、その理由によります。使用者の都合で自宅待機させた場合には、賃金全額を支払わなければなりません。賃金支払い義務を免れ得るのは、不正行為の再発、証拠隠滅につき、かなり具体化した危険があるという場合に限られます。

一方、労基法第26条は、使用者の責めに帰すべき休業について、休業期間中、当該労働者の平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないと定めています。就業規則に、何ら規定がなければ、100%の支払いが必要です。(岡本)

 

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