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問題社員に対して改善に向けての特定の研修を命じることは、ハラスメントになるか

パワハラが争われるケースにおいては、業務上の必要性が肯定される場合もまれではないため、注意・指導とパワハラの境目が問題となることが多くあります。特に、問題社員である自覚がない社員の場合は、問題行動に対する注意・指導を「ハラスメントだ」と主張してくるケースがありますが、本人がハラスメントだと感じれば何でもハラスメントに該当するわけではなく、パワハラ指針でも、平均的な労働者の感じ方を基準として、労働者の就業環境が害されたかを判断するとしています。

なお、このように何でもハラスメントだと主張することを、最近では「ハラハラ」(ハラスメント・ハラスメント)というようですが、ハラスメントは、周囲の者の精神的・時間的負担となったり、適切な注意・指導ができなくなったりすることで、業務の円滑な運営に支障が生じることにつながりかねません。そのため、このような主張がなされた場合、会社としては、注意・指導が本当にハラスメントに該当しないかを検討するなどの誠実な態度が必要となる一方で、明らかにハラスメントに該当しないものをハラスメントと主張されることに対しては、毅然とした態度で臨む必要があります。

問題社員の場合、再発防止のため、コミュニケーションやハラスメント等の研修を受講させる業務上の必要性があります。また、仮に、他の業務を全うさせず、長時間にわたり当該社員に対してのみ研修を受講させ続けるなどした場合は、相当な範囲を超え、パワハラに該当する場合があります。しかし、そのような極端な事情がなく、一時的に研修の受講を命じることは相当な範囲と思われますので、パワハラに該当する可能性は低いと考えられます。

もっとも、問題社員の場合は、おそらく自分が問題社員であるという自覚がないため、自分にだけ研修を受講させることがハラスメントだと主張していると推測されます。

実務的には、研修を受講させる業務上の必要性を客観的に証明するために、具体的な問題行動の内容とともに「あなたには、こうした問題行動が見られますので、改善を求めます。そのためにも研修を受けてください」と業務改善指導書などを交付することが必要です。こうした指導書は、研修の受講命令がハラスメントに該当しない証拠となるだけでなく、社員の問題行動、およびそれに対して会社が指導を行った証拠になります。このような指導書の交付を繰り返し、それでも研修の受講を拒否するなど、当該問題社員に改善する姿勢が見られないようであれば、退職の勧奨を行うという方向で今後進めることがよいと思われます。(岡本)

 

 

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