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連絡がとれない社員を退職扱いまたは解雇すること及び当然退職とするの是非

解雇は、使用者からの一方的な「意思表示」による労働契約の解消です。そして、法律上、意思表示の効力が生じるためには、その意思表示が相手方に「到達」することが必要となります。到達したといえるためには、相手方が実際に意思表示を了知する必要まではないものの、了知することのできる範囲内に入ることが必要です。

そのため、失踪した社員に対し、たとえそれまでの住所に解雇通知書を投函しても、了知の可能性がない以上、意思表示の到達とはいえません。なお、家族とは連絡が取れているケースであれば、家族を通じて解雇の意思表示を社員本人に通知することも可能ですが、その場合は、意思表示が到達したことを示す何らかの記録の提供を家族に依頼すべきです。

そこで、公示による意思表示という手続きが考えられます。公示による意思表示とは、裁判所の掲示場に掲示し、かつ掲示のあったことを官報に記載すること等の手続きにより、当該意思表示を相手方に到達したとみなす制度です。しかし、企業名が官報に記載されることから、実務対応としては敬遠されることが多いようです。

次に、社員が長期にわたって無断で会社に出勤しないこと(1~2ヶ月程度経過して連絡が取れず欠勤が継続する場合)をもって、辞職(労働者からの一方的な意思表示による労働契約の終了)の意思表示が黙示的になされたと捉えることも、「当然退職」にかかる就業規則の規定がない場合の実務対応としては考えられます。しかし、しかし、具体的に何をもって、また、いつの時点で黙示の意思表示がなされたとするかは難しいところであり、注意を要します。

そこで、社員が一定期間にわたり無断欠勤を続け失踪している場合には、当然退職となるように、就業規則上で規定しておく必要があります。ここでいう「一定期間」としては、使用者による解雇について30日前の予告が必要とされていることから、30日程度が相当と考えられます。

具体的には「会社に連絡がなく、30日を経過し会社も所在を知らないとき」を当然退職事由として規定しておくことが適切です。(岡本)

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