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管理職に対する能力不足を理由とした賃金水準の大幅ダウンを伴う降格の実施

人事権に基づく役職や職位の降格は、就業規則上の根拠規定の有無にかかわらず、人事権の行使として、使用者の経営判断に基づいて行うことができると考えられています。

ただし、降格は、一般的に労働者にとって不利益な措置ですので、使用者の裁量も無制限に認められるわけではありません。業務上・組織上の必要性等の使用者側の事情や、能力・適性の欠如等の労働者の事情、さらには降格によって労働者が受ける不利益の程度等の事情を総合考慮して効力の有無が判断されます。

降格は、役職や職位を下げるものですので、これに伴い賃金の減額となるのが普通です。賃金体系が給与規程等で明示されており、賃金と職位との間の関連性が明確である場合には、降格に伴う賃金の減額も基本的には認められます。他方、給与規程等で賃金と職位との間の関連性が示されておらず、降格に伴う賃金減額の幅が使用者の裁量に委ねられている場合には、減額措置の合理性が認められない可能性が高くなります。

降格に伴い給与規程等に定めるところに従って賃金を減額するにしても、注意が必要です。役職や職位が下がったからといって、降格前後の職務の内容や責任の差異の程度をはるかに上回る大幅な賃金の減少は、給与規程事態の合理性に疑義が生じます。

管理職に、「期待したパーフォーマンスが見られない」点などは、客観的な評価がされているかどうかを点検する必要があります。人事権の行使としての降格は、時として業務上の必要性や被考課者の資質や能力とは無関係に、上司等の人事権者の個人的な感情に基づき濫用されるケースも見受けられますが、そうした場合、概して裁判所は会社に厳しい判断を下しています(=降格処分を人事権の濫用として認めない)。

降格自体には問題がないとしても、次に、賃金の減額について検討することになります。前記のとおり、役職や職位と賃金が連動し、その対応関係が給与規程等に明記されているのであれば、基本的には賃金を減額することも可能です。しかし、会社が個別に役職手当等を決めている場合には、降格とともに賃金の減額を行うことには法的リスクがあります。

続いて減額の幅ですが、賃金が降格により年収ベースで3~4割もの大幅な減額となることについては、その合理性を吟味しておくべきです。賃金の減額幅が大きい場合、それだけ労働者の不利益が大きいことから、裁判所による人事権濫用の有無に関する判断は、より厳格になされる傾向にあるからです。

一方、給与規程、評価制度、賃金テーブルがあり、かつ労働者の生活に配慮した激変緩和の措置をとれば、減給措置が有効になるとの判例もあります。とくに、職務給制度では、特定の職務に対する成果を評価して降格減給を行うことが多く、職務給制度の減給有効事例の参考になります。(岡本)

 

 

 

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