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報酬と採用から見るジョブ型雇用と日本型雇用の違い-報酬の「値札」が何に付くのか

2020年に入ってから、「ジョブ型雇用」という用語を毎日のように新聞やWEBの記事で目にするようになりました。ジョブ型雇用とは、一体どのようなものなのか。ジョブ型雇用の特徴を報酬と採用の面から、従来の日本型雇用と比較します。

多くの日本企業では基本報酬の値札は「ヒト」に付きます。例えば、A社の若手社員である鈴木さんに付いた値札が月額24万円だとしたら、鈴木さんがA社においてどのような仕事に就いても、基本報酬は24万円から大きくは変わりません。人事・営業・技術など、職種を問わず月額24万円です(手当により少しの多寡はあります)。値札をヒトに付けることによって、頻繁かつ柔軟な異動が可能になるというメリットがあります。

日本型雇用の人材マネジメントにおける基本報酬は、多くの場合、個々の社員の能力・成果で決定されることになっています。しかし、実際には年齢給や勤続給、あるいは過去からの積み上げによって、能力・成果とは直接関係ない年功的な右肩上がりの報酬カーブになりがちです。社員が、今、どのような職務を担っているかは、報酬とはあまり関係がありません。

つまり、基本報酬が現時点の職務に応じた時価設定になっていないということです。したがって、2人の社員、鈴木さんと佐藤さんが全く同じ職務を担う場合であっても、報酬額は異なることになります。同一労働同一賃金ではなく、あえて命名するとすれば同一年功同一賃金と呼ぶべきです。そして、報酬カーブの形状も各社独自のものであるため、日本の労働市場では職務に応じた報酬水準相場が形成されづらくなります。

それらの結果として生まれるのが、職務価値と報酬額の乖離です。新卒入社の正規雇用として勤務し続けた前提で、40代・50代の社員層はその担う職務価値よりも高い報酬を得ていることが多くあります。高年齢で転職を試みようとしても、転職前の報酬水準を維持することが極めて難しくなるのはそのためです。

一方、ジョブ型雇用では、基本報酬の値札が「イス」、すなわちポジションに付きます。例えば、営業課長のイスの値札が33万円である場合、そのイスに誰が座ることになっても基本報酬は33万円になります。値札がヒトでなく、イスに付くのがジョブ型雇用の基本です。個々の社員の専門性やスキルが高くなったからといって基本給がアップするわけではありません。社員が自らの専門性やスキルを向上させたとしても、担当する職務内容が高度化しなければ、基本報酬は上がらないという点に注意が必要です。

また、ジョブ型雇用における基本報酬の値札の額は、ポジションの職務価値の大きさによって決まります。社員の年齢や扶養家族の有無など職務に関係のない属性が職務価値の算定に入り込む余地はなく、同じ職務であれば同じ報酬です。まさに、同一労働同一賃金です。

次に、一般的な日本の中堅・大手企業では、毎年の新卒一括採用が主な人材獲得方法であり、新卒だけでカバーし切れない人材確保を中途採用で補填します。採用の合否基準は、基礎学力と「コミュニケーション力」「思考力」などを、サークル活動やアルバイト経験、職務とは無関係の研究内容等と併せて、人事部門が単独で決めていくます。

一方、ジョブ型雇用における採用は、ポジションごとに募集活動が行われます。一つひとつのポジションについて社内公募あるいはキャリア採用によって、担当職務に適した人材を探すことになります。採用が職務と直接的に紐づいているため、人事部門の役割は募集活動と1次評価程度にとどまり、面接および実質的な採用合否判定は、募集ポジションの上司が担うことになります。(岡本)

 

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