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コロナ禍でニーズが高まる従業員の自転車通勤に伴う問題点とその対策

最近、新型コロナの影響が長期化する中、通勤時の公共交通機関の“蜜“状態を敬遠し、また、健康志向もあって、自転車通勤への注目度が高まっています。

自転車通勤は、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合に比べ、大きな責任とリスクを伴います。具体的には、①交通法規や交通規制を遵守する義務を負い、②交通事故を引き起こしたり、事故に巻き込まれたりするリスクがあります。企業にとっては、①に関連して駐輪場の確保など、物理的な負担も生じます。そのため、まずは自転車通勤を認めるかどうかを検討し、認める場合にはルールづくりが必要です。また、自転車通勤は交通費がかかりませんので、③通勤手当をどのように取り扱うかも検討すべき事柄です。

まず、自転車通勤を認めるかどうかですが、自転車通勤に伴う事故その他のリスクや駐車場確保の問題などを考慮すると、少なくとも企業が公共交通機関の利用について通勤手当を支給している場合には、自転車通勤の禁止も許されると考えられます。

例えば、駐輪場を確保できず従業員による違法駐車が問題となった場合、企業イメージが損なわれるおそれもあることから、積極的に自転車通勤の禁止を就業規則等で明示することも検討に値します。従業員の疲労を考えると、一定の距離以上は自転車通勤を認めないとすることもあり得ます。

自転車通勤を認める場合には、届出のみで認めるのか、許可制とするかを検討します。自転車通勤を希望する従業員の数や駐輪場の確保状況など、企業の実情に応じて判断しますが、自転車通勤をする従業員が保険に加入しているか、(事業所内に駐輪場がない場合に)駐輪場を確保しているかといったことを企業額が確認するためには、許可制とするほうが確実だと思われます。この場合、従業員が自転車を会社の業務に用いて事故の加害者となった場合、会社も、使用者責任として被害者に対する損害賠償責任を負う可能性があることから、「会社の許可なく自転車を業務に使用しない」ことを規定の中で設けておくことが望ましいです。

また、自転車通勤を認める場合は、個人賠償責任保険などの保険への加入は義務付けるべきです。その際、保険加入を義務付ける規定を設けるだけでなく、加入を確認するために保険証書の写しの提出を求めることが望ましいです。

駐輪場(駐輪場所)の確保も重要な問題です。駐輪場が確保できない状態では、企業として、自転車通勤を認めるべきではありません。駐輪場を企業で準備する場合には、指定の場所に駐輪しなければならない旨を規則に定めます。また、従業員が準備する場合は、会社として従業員が駐輪場を確保したことを確認すべきです。例えば、自転車通勤の許可に際し、駐輪場の確保を許可の要件とし、確保したことを証する書類の提出を求める方法が考えられます。駐輪場代の負担については、実費精算をして会社で負担するか、通勤手当を支給する場合はその中に含まれているものと考えて、精算はせずに従業員の負担とすることも考えられます。

自転車通勤の従業員に通勤手当を支払う場合、公共交通機関を利用した場合の実費精算をする方法と、一定の金額を毎月支払う方法が考えられます。実費精算の手間を考えると従業員が多い場合などは後者の方が現実的でしょうが、その場合、全員一律の金額を支給すると割増賃金の基礎から除外される「通勤手当」に配当しないとされる可能性があります。したがって、通勤手当に応じて支給額に差をつけることが妥当です。

自転車通勤にはリスクを伴いますが、従業員の心身の健康や環境への貢献などのメリットもあります。自転車通勤を認めるかどうか否かは会社の置かれた状況にもよります。一番良くないのは、会社が態度をはっきりさせないまま、なし崩し的に自転車通勤を行う従業員が出てきて問題が発生することです。早急な検討が必要と思われます。(岡本)

 

 

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