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同一労働同一賃金における不合理な待遇格差のうち「慶弔休暇」の取扱いと留意点

今年4月、中小事業主にも短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート有期法)が適用され、同一労働同一賃金が本格的にスタートしました。

判断に迷うことの多い休暇や休職のうち、慶弔休暇の対応方法では、ガイドラインは、慶弔休暇について「短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保証を行わなければならない。」と記載しており、基本的には、同一の慶弔休暇を与えなければならないというように読めます。しかし、問題とならない例として、「A社においては、通常の労働者であるXと同様の出勤日が予定されている短時間労働者であるYに対しては、通常の労働者と同様に慶弔休暇を付与しているが、週2日の勤務の短時間労働者であるZに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している。」との記載があります。

この記載からは、週2日の勤務のような短時間労働者の場合は、慶弔休暇でなくとも、まずは勤務日の振替(シフトの調整)でもよいように読めます。ただ、「週2日でよいなら週3、週4はどうか」という問題はあります。

慶弔休暇については、冠婚葬祭という出来事自体はどの勤務形態でも変わらないものであり、同じように付与すべきという考え方も当然あります(そのほうが望ましいです)。一方で、慶弔休暇の目的が、正社員の確保定着を目的とした福利厚生的な休暇だとすれば、待遇差に一定の違いがあることの説明というのもあり得るのではないかと考えます。

例えば、会社から従業員へ「慶弔休暇は、当社で長期間にわたり正社員として勤務していただくことを前提に、その期間に生じうる冠婚葬祭に対して、福利厚生の一環として5日を上限とした特別休暇を付与することにしています。このように長期間の雇用を前提とした手当であること、福利厚生の休暇であることから契約社員には3日を上限として付与していますが、パートの方については、事前の申請により、他に優先して労働日を振り替えることにより対応させていただきますので、ご理解ください。」というような説明です。もっとも、有期契約社員であっても、相応に継続した勤務が想定される場合には、この趣旨目的は同じように及ぶため、その場合には正社員と同様の慶弔休暇を付与する方向で検討した方がよいでしょう。

ただ、慶弔休暇についてはその頻度はさほど高くなく、会社の負担も限定的である一方、何かお祝い事があれば同じように祝福され、不幸なことがあれば同じようにお悔やみがあるという制度は、会社としての一体感や、従業員を大事にする気持ちの表れであり、非常に良い効果を生むものです。そのため、まずは同一労働同一賃金への対応の一歩として、この慶弔休暇から改善をしている企業もあります。できることから1つずつ会社が対応しているという姿勢を見せることも、従業員のモチベーション維持につながります。

有期契約社員には慶弔休暇を与える方向で検討し、パート・アルバイトについては、ガイドラインを参考にすれば、慶弔休暇でなくとも、まずは勤務日の振替(シフトの調整)も直ちに違法でなないと考えられます。したがって、パート・アルバイトについてはまずはシフトの調整で対応しつつ、実際に運用状況をみてパート・アルバイトにも慶弔休暇を付与するかどうかを引き続き検討するということでもよいかと思います。(岡本)

 

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