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従業員の新型コロナウイルスのワクチン接種時の休暇や労働時間の取扱い
新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいます。それに伴い、「ワクチン休暇制度」の導入が進んでいます。ワクチン休暇とは、感染症予防を目的としたワクチン接種の際に、企業が従業員へ接種をする時間や日、また接種後副反応が出た場合に与える休暇です。
3月頃からすでに、国内大手企業ではワクチン休暇制度を導入しています。会社によってそのルールは様々ですが、制度導入企業の多くは、ワクチン休暇を特別休暇と位置付け、有給としています。ワクチン休暇は、法令上の義務でもなく努力義務でもありません。あくまでも従業員が安心して働き続けられることを目的として導入する福利厚生の一環です。よって、導入するかしないかは、企業の裁量に任されています。
なお、厚労省は、『新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)』「従業員を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)」において、以下のように回答しています。
〈ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取り扱い〉
職場における感染防止対策の観点からも、従業員の方が安心して新型コロナウイルスの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や接種 後に従業員が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
従業員が、ワクチン接種時および接種後副反応が出て体調を崩した際、企業の対応としては、以下の3つが考えられます。
A.欠勤扱いとする
B.年次有給休暇を使用させる
C.特別休暇として有給で休ませる
「休暇」は、就業規則の絶対的必要記載事項ですが、今般の新型コロナウイルスにかかるワクチン接種においては、政府がワクチン接種の実施期間を定め、令和4年2月28日までとしています。よって、新型コロナウイルスにかかるワクチン接種に関する特別休暇制度は、時限措置となる可能性が高いといえます。
政府は、企業が従業員にワクチン接種を勧奨することを禁ずる法令はないとしつつ、「国民が自らの判断で受けるべき」また「ワクチン接種の勧奨に応じないことを理由とする解雇や配置転換など不利益な取扱いが行われることは適切でない」との見解を示しています。しかし同時に、企業はそこで働く従業員の生命、身体の安全・健康を確保しつつ労働ができるよう、必要な配慮が求められています。
今般の新型コロナウイルスのワクチン接種は、予防接種法によって努力義務と定められています。よって、様々な事情や自身の判断でワクチンも接種をしない人たちも出てきます。当然ながら、企業として、接種しない人たちに対して、不利益な待遇はしてはなりませんし、ワクチン接種を強要することもできません。しかし、人は時として自分の理解の範囲を超えている他人を心理的に排除する傾向にあります。そのため、ワクチン接種をめぐり企業内でハラスメントが起こる可能性もあります。事前の啓発などの施策が特に必要です。(岡本)
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