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希望退職

希望退職の募集は、①社員に対する申し込みの誘い(誘因)であり、②これを受けて社員が応募し、あるいは退職届を提出する行為が申し込みの意思表示になり、③社員からの申し込みに対して会社が承諾することで、合意退職が成立することになります。

そのため、会社として希望退職募集で退職されたくない社員には承諾しないことや、退職条件として個別に義務を課すことも可能です。

したがって、希望退職募集による優遇制度(割増退職金)の適用は、会社側の「承諾」の有無にかかわっており、承諾の有無をめぐるトラブルを防止するためには承諾は書面で行う必要があります。

退職金の算定方法については、休職や出向していた期間の取り扱いが争われることがあります。また、賞与や割増退職金の計算方法を明確にしておくことも必要です。特に、賞与については、給与規程における支給対象期間(査定期間)や支給日在籍要件を確認した上で、希望退職募集に応じた場合には、上記規程の取り扱いを維持するのか、変更するのかを確認しておくべきです。

希望退職募集の期間については、調査によれば「募集期間は、最短1ヶ月から最長11ヶ月までバラつきが見られたものの、1~2ヶ月の設定が目立つ」とされています。募集期間が長ければ応募者数が増えるというものでもありません。「整理解雇」の有効性判断では「解雇回避措置を尽くした」といえるためには、1ヶ月程度は設定しておきたいところですが、募集前に概要を告知している場合や休業中や在宅勤務中で社員側に検討する時間の余裕がある場合には、2週間程度でも可能です。

現在のコロナ禍の情況で留意が必要なのは、希望退職募集の説明や社員対応をどのように実施するかです。在宅勤務や「3密回避」のために社員を集合させることが難しい場合は、小規模・複数回での説明会の実施のほか、WEB会議や書面による方法等、説明方法や必要書類の交付・提出の方法をあらかじめ検討しておく必要があります。(岡本)

 

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