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テレワークでの出社
新型コロナウイルスの感染により、テレワークを通じて職場に出勤しなくともよくなったことから、様々な問題が生じています。テレワーク勤務を解除して従業員に出社するように求めたところ、出社を拒否したケースや休職中の従業員がテレワークでの職場復帰を求めてきたケースです。
一般に、使用者は、従業員に対して必要な指示・命令をする権限(業務命令権)を有しています。個々の業務命令については、「合理的な」また「相当な」命令である限り、従業員はその命令に従う義務があります。
他方、業務命令が必要性を欠く場合や、従業員が受忍できる限度を超えて相当性を欠く場合には、従業員はその業務命令に従う義務を負わないことになります。
コロナウイルス感染拡大が懸念される状況では、従業員に対して業務に従事するように命じる場合、具体的な状況下で、その業務命令に①必要性があり、②相当なものであるかを検討する必要があります。指導教育のためやコミュニケーションをはかるために出社を求めることは、必要性があります。緊急事態宣言下でない限り感染する確率は高くありません。また、相当性については、マスクの着用や手洗い、消毒液の準備等を行っていれば、医療従事者でないデスクワークでの感染拡大防止策としては問題ありませんし、特に高齢者でないのであれば、基礎疾患もなく死亡もしくは重症化するおそれは低いと考えられます。この場合、総合考慮すれば、出勤を命じることは適法であり、拒否した場合は懲戒処分も可能です。
休職中の従業員に休職期間の満了が近ずいてきたので、診断書を求めたところ、在宅勤務を求める診断書については、①一定時刻までに起床して始業時刻までに仕事ができるか、②所定労働時間に想定された業務を行える健康状態か、③在宅勤務での配置が現実的に可能かを検討することになります。
主治医の診断書や産業医の意見をもとに、復職の可否を決めることになりますが、①~③の懸念が払しょくできないのであれば、復職はできないとの判断により、解雇や自然退職はやむを得ないと思われます。(岡本)
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