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年金改革法
公的年金の改革法が29日に成立しました。高齢化が進む中で年金を少しでも増やすための選択肢が広がります。
原則65歳に受給開始になる公的年金は現在70歳まで繰り下げられますが、2022年4月以降は、選択肢が75歳まで延びます。施行日時点で70歳未満の人が対象です。
1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額されるのは現行通り。70歳まで繰り下げると42%、75歳までなら84%増えた金額が終身で続きます。繰り下げでもらわなかった金額を受給開始後の増額で取り戻せるのは、70歳受給開始なら82歳弱、75歳受給開始なら87歳弱です。
繰り上げ受給は従来通り最大60歳までですが、減額が現行の1ヶ月0.5%から0.4%に縮小します。60歳まで繰り上げた場合の減額率は現在の30%から24%になります。減少は一生続きます。当面の資金に余裕があれば、繰り下げによる増額は長生きの安心の材料になります。
次に、週20時間以上30時間未満の短時間労働者が、一定条件下で厚生年金に加入するのは今は501人以上の会社ですが、22年10月に101人以上に、24年10月に51人以上の会社に広がります。厚生年金保険料は会社と折半。パートで働く女性など新たに保険料負担が発生する場合にも、将来の厚生年金の受給額が保険料負担を上回る。目先の負担を避けるためだけに勤務時間を20時間未満に調整するのは得策ではありません。
また、現在60~64歳では、月収と厚生年金の合計が28万円を超えると超えた金額の半分が厚生年金から減額されます。いわゆる在職老齢年金ですが、22年4月以降は基準が47万円になり減額される人は大きく減ります。長く働くことの後押しになりそうです。(岡本)