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時間管理の壁

 新型コロナウイルスの感染症拡大抑制策として、今、テレワークが広がっています。通勤時間が不要になり、通勤ラッシュで疲れずに済むため仕事の効率が上げやすくなるという利点がありる一方で、テレワークをやりづらくさせているのが、労働時間を厳格に管理しなければならないというルールです。

労働法上、使用者(会社)には労働者が働いた時間を把握・管理する責務があり、これはテレワークでも変わりません。自宅にいれば仕事を中断することがしばしばありますが、在宅勤務する人は原則として、始業・終業はもとより業務を離れた時刻や戻った時刻をその都度、記録する必要があります。近年はパソコン操作で済ませられるシステムもありますが、わずらわしさが完全になくなるわけではありません。とくに家族の介護や子育て中の人は、どうしても断続労働になってしまうため、いちいち時間をつけられるのかという問題があります。

そうした厳正な労働時間の管理は、労働とは工場で働くことを指していた時から続く仕組みです。戦後名もない1947年に施行され、労働時間や賃金の制度を定める労働基準法は、働く時間と生産量が比例する工場労働を前提としているからです。働いた時間は賃金を決めるものさしであり、その正確な把握は必要不可欠でした。ところが今は、デジタル化によって働いた時間と成果が比例しない仕事が増えています。労働時間を賃金の算定にすることは理にかなわない。時間管理の意味は薄れています。

テレワークは大地震や災害の時にも活用でき、平時でも生産性向上を促す働き方として定着が期待されていますが、今より使いやすくするためには労働時間管理のルールをもっと柔軟にすることが求められます。働いた時間の長さでなく、どんな成果を出したかで賃金を決める仕組みを広げていくべきです。

労働時間の把握には働きすぎを防ぐという重要な狙いもあります。仕事の時間配分を自分で決める裁量労働制ですら、会社が日々の就労状況を把握しなければならないのは、社員の健康管理のためです。最近では端末を身に着けて自身で健康管理がチェックできるウエアラブルの機能を使っての健康管理の方法もあります。テレワークの広がりを契機として、デジタル時代の働き方について議論を深める余地は大きいといえます。(岡本)

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