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変わる働き方で、ウーバー配達員など「自営ワーカー」に労災保険の適用

フリーランスのITエンジニア、ウーバーイーツなどの宅配、ライドシェアの運転手などいわゆるギグワーカーは、新型コロナウイルスの影響による失業の受け皿として、また新たな働き方として急拡大するなか、これまで、社会保障などの面で保護するためのルールづくりは遅れていました。これは、社会が長く「雇用者」を標準的な働き方とみなしてきたことが一因です。

日本の就業者は、雇用契約の有無で雇用者と被雇用者に分類されます。雇用者には無期・フルタイムの正規雇用と、有期、パート・アルバイトや派遣社員などの非正規雇用が含まれます。一方、被雇用者はフリーランスの専門職や個人事業主などの自営業者です。ギグワーカーは原則、自営業者に位置づけられます。日本では、このギグワーカーは兼業も含め数百万人とみられます。

労働基準法などは使用者の指揮命令下で働き、賃金を支払われている労働者が対象です。主に雇用者が想定されておりギグワーカーは含まれません。雇用保険や労災保険などの社会保障制度も労働法上の労働者中心の設計です。同じ職種であっても雇用者と被雇用者では安全網に大きな格差が生まれています。

この度、厚生労働省は、料理宅配員やフリーランスのITエンジニアに対し、労災保険の特別加入を認める方針で、年内に省令を改正します。国内でもギグワーカーが急増するなか、安全網整備が必要と判断しました。
料理宅配員は交通事故のリスクがあり、ITエンジニアでは長時間労働による腰痛などが問題になっていました。労災保険の特別加入がこれらギグワーカーに拡大されることは前進ですが、保険料は自己負担です。雇用者の場合は、保険料は事業主が支払いますが、ギグワーカーに仕事を仲介するプラットフォームの運営事業者に負担を求める声もあります。ただし、雇用保険や最低賃金を適用する動きはまだありません。

ギグワーカーの中には高度な技能を持つ技術者やクリエイターもいます。労基法などの保護規制がきっちり適用されるとかえって働き方を窮屈にする恐れもあります。また、一律で雇用者と同等に扱うと働き方の自由度がそがれ、新たなビジネスも生まれにくくなります。
今後もギグワーカーが増加することは避けられません。雇用者を標準的な働き方として作られた年金や社会保障制度の再設計も必要です。(岡本)

 

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