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在職老齢年金

2019.10.15 Tuesday
 厚生労働省が8月に公表した年金財政の検証結果に対し、「在職老齢年金」の制度変更が検討されています。
 今の在職老齢年金は、働いて収入がある高齢者について厚生年金を減らす制度で、65歳以上なら賃金と年金の合計が月47万円を超える人が対象。60歳〜64歳の場合は、月28万円を超えると減額が始まります。収入がある高齢者の年金の給付を抑え年金財政を安定させるのが狙いです。
 同省は、65歳以上は基準を62万円に引き上げて対象を絞るか制度をなくす案を示しています。これは、働く高齢者を増やして社会保障の担い手を増やすためですが、高齢者に年金を払えば将来世代の受け取りは減るので、年金財政の厳しさが増す中、給付を増やす制度変更を認めてよいのかという疑問が残ります。在職老齢年金が高齢者の働く意欲をどの程度阻んでいるかも疑問です。
 中小企業では嘱託社員など高齢者を雇用する場合には、年金額を参考に給料を決めるのが一般的です。実はこの慣行には司法がお墨付きを与えています。
 雇用者が定年後に再雇用されて同じ仕事を続ける場合、賃金を下げられることの是非が争われた裁判で、最高裁は昨年6月、賃金減額を認める判決を出しています(長沢運輸事件)。横浜市内の運送会社で働く3人のトラック運転手が、賃金が2〜3割下げられたのは「同一労働・同一賃金」の考え方にもとり、不当だと訴えていたものです。これに対し、給与や手当の一部カットが不合理でないと判断した理由の一つに最高裁は、「一定の条件を満たせば厚生年金の支給もあり得ること」を挙げました。厚生年金をもらっている働き手は、給料が現役時より減らされることに一定の合理性があるという考え方をとっているわけです。
 収入面で恵まれている高齢者の年金を増やそうとするのは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなことにはならないのでしょうか。(岡本)
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