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フリーランス新法とトラブル回避のための実務上の留意点

フリーランス新法が令和6年11月に施行されました。同法は、個人やいわゆる“一人会社”で業務委託を受ける事業者たるフリーランスを「特定受託事業者」と位置付けた上、フリーランスに業務委託する委託者に対し、下請法と同様の規制を課すほか、限定的に労働者類似の保護を与え、これらの違反に広く行政の指導を可能とするものです。

「下請法と同様の規制」では、業務委託事業者は、フリーランスの業務内容、報酬額、支払期日などの契約条件明示義務があります。フリーランスに対し発注を行う際に、これらの契約条件を明示できるよう、契約書、発注書、利用規約等の書式を整備し、実際に発注時にこれをフリーランスに交付する仕組みづくりが求められます。

「特定業務委託事業者」がフリーランスに業務委託をした場合には、給付受領日・役務提供日から起算して60日以内に報酬を支払う義務があります。契約条件明示の書式や交付手続きを定める際に、報酬支払時期についても60日ルールを順守するよう担当者に徹底することが求められます。

「特定業務委託事業者」がフリーランスに対し継続的業務委託をする場合、報酬の減額、買いたたき等の行為が禁止されます。特に注意しておきたいのは、業務委託者の一方的な発注取り消しは、法文上は明示されていないものの、給付受領拒絶や給付内容変更として禁止されることです。フリーランスに対してはこれらの禁止行為をしないよう、定期的に社内研修を行うなどの対応が望まれます。

「労働者類似の保護」では、契約解除・不更新の30日前予告義務があります。特定業務委託事業者がフリーランスとの継続的業務委託を解除したり不更新としたりしようとする場合は、原則として少なくとも30日前までに予告するする義務があります。ここでいう継続的業務委託該当する契約期間の長さは、6ヶ月以上の期間の場合が該当します。

例外的に委託者の即時解雇が認められる場合としては、法は「災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合のみ」を例示していますが、Q&Aによれば、解除することについてフリーランスの責めに帰すべき事由がある場合(フリーランスに契約不履行や不適切な行為があり業務委託を継続できない場合等が示されています。フリーランスとの間の契約書、発注書その他の契約条件明示書式上、契約を解除しまたは不更新とする場合は、30日以上前に予告すべき旨を記載しておけば、法令順守を確保できると考えられます。

その他、ハラスメント対策義務では、フリーランスに対するセクハラ、パワハラ、マタハラについて、フリーランスの相談に応じ適切に対応する体制整備等の必要な措置を講じる義務があります。またフリーランスがハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

妊娠、出産、育児介護への配慮義務では、フリーランスから申し出があれば、その妊娠、出産、育児介護と両立して業務に従事できるよう「育児介護等の状況に応じた必要な配慮」が求められます。一定の期間以上の継続的業務委託の場合には義務ですが、そうでない場合(単発や短期の業務委託等)にも努力義務とされています。(岡本)

 

 

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