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パワハラについて匿名での情報提供への対応と職場環境改善の取組み

相談窓口で匿名での情報提供があった際に、「匿名の情報は信ぴょう性が低い」と安易に判断してしまうことは避けなければなりません。情報の信ぴょう性が低い可能性もありますが、会社が情報を軽視してしまうと、情報提供者は外部に情報を提供しようとしてしまうかもしれません。会社としては、「貴重な情報を提供してもらった」と受け止めて、真摯に対応を進めることが重要です。

しかし、どの部署の誰が行為を行ったかという情報がなく、情報提供者の連絡先もわからない場合は、調査を進めることは容易ではありません。情報が乏しい中で無理に行為者と被害者を特定しようとすると、その過程で情報提供者まで特定されてしまうおそれもあります。

情報提供者は自分のことを特定されたくないからこそ匿名で情報提供をしていると考えられますので、情報提供者が特定されないような進め方が必要です。関係者を特定することなく進めるために、初期段階では、全社員に向けてメールなどで職場環境改善への取り組みを促すのがよいのではないでしょうか。

その際に、窓口に情報提供があったことは明かさないことが大切です。明かしてしまうと、情報提供者探しをしようとする人が出てくるかもしれません。そのリスクを避けるために、一般的なニュースとして取り上げて、「最近、ハラスメント関係のニュースが繰り返し報道されています。ハラスメントは深刻な問題を引き起こしますので、ハラスメント防止について再度確認し、職場環境を改善する取り組みを継続していただきますようお願いします」といった形で伝えるのがよいでしょう。そのうえで、「ハラスメントを受けた時や、ハラスメントを見かけたときは、相談窓口にご相談ください」と伝えれば、さらなる情報提供を促すことにもつながります。

会社が何らかの取り組みを開始することによって、情報提供者は「会社が情報を受け止めてくれたようだ」と思ってくれるはずです。情報提供者や事情を知る人から、追加の情報を伝えてもらえるかもしれません。

それらの情報によって、ハラスメント調査ができようであれば、その時点で個別事案に対するハラスメント調査に切り替えて、対応をするのがようでしょう。「複数の情報が寄せられたので調査を開始した」としておけば、情報提供者探しをしようとする人がいても、情報提供者を特定しにくくなるはずです。

もし、追加の情報が集まってこなければ、引き続き職場環境改善の取り組みを進めます。年度や四半期の区切りの時点で、職場環境に関するアンケート調査などを行って実態を確認するのもよい方法です。

匿名での情報提供の場合は、ハラスメント調査の段階まで進まないかもしれませんが、少ない情報で進められる取り組みを着実に行うことが重要です。(岡本)

 

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