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働き方改革

副業人材を受け入れるための施策と留意点

多様な働き方の一つに「副業・兼業」があります。副業は、労働者にとって収入増加やスキルアップの選択肢となるばかりでなく、企業にとっても様々なメリットがあります。令和2年9月の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定に伴って厚生労働省の「モデル就業規則」に副業に関する規程が新設されて以降、副業への関心は高まり続けています。

副業人材を受け入れる際には、雇用契約にするか雇用以外にするか、その両方を認めるかを検討する必要があります。

一般に副業の受け入れは、フルタイムで雇用されている正社員を想定されるケースが多くあります。この場合に注意しなければならないのが、労働時間を通算するルールが適用されることです。36協定や割増賃金の検討なども必要になります。働き手の中でも「副業は許可制でできるが雇用契約はNG」という場合もあります。中小において労務管理面の負担を大きくしないためにまず非雇用型の方がよいかもしれません。ただし、この場合は労働者として扱ってはいけないため具体的な指示命令を行うことはできないことになります。

労働時間の通算については、労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合でも、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されています。そのため、副業人材を雇用型にする場合、原則として本業・副業における労働時間を通算しなければなりません。会社は労働者の自己申告などで本業または副業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と足し合わせ、その結果、自社での労働が1週40時間または1日8時間を超える法定外労働に当たる場合、36協定の締結、届出、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要になります。さらに、本業と副業先での法定外労働時間の時間と休日労働の時間を合わせて、単月100時間未満、複数月平均80時間以内にする必要があります。

副業人材の受け入れについて、就労上限時間などのルールを決めておくと、受け入れを検討する目安になります。就労時間の範囲を事前に決めておくのは、安全面の配慮もあります。労働契約法第5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」とされており、副業の場合においても、副業を行う労働者を使用するすべての使用者が安全配慮義務を負っています。労働者に当たらない非雇用型の場合も、安全面には配慮し、過重労働にならない配慮が求められます。

副業の受け入れに際して、企業側にとって懸念の一つに、秘密の漏洩の問題があります。副業人材の受け入れを雇用契約ではなく業務委託契約によって行う場合、秘密保持条項の締結なども重要です。社内の秘密管理体制は必須であり、特に重要な情報は不正競争防止法で保護される営業秘密の要件をみたすように対策しておくことが考えられます。

また、社会保険に関しては、複数勤務する事業所の所定労働時間を合算するのではなく、適用事業所ごとに判断します。いわゆる4分の3基準には例外があり、10月からは、常時50人を超える企業を特定適用事業所として短時間被保険者の適用要件が拡大されます。掛け持ちのパートタイマーで、社会保険の適用が2つ以上となり得る場合があることも考えておく必要があります。(岡本)

 

 

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