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雇止め制限法理の適用による雇止めが有効か否かの判断方法とトラブル予防策

労働契約法第19条では、契約期間の定めがあっても、雇止めが制限される場合が規定されています。具体的には、有期社員が契約更新の申し込みを行った場合に、①雇止め法理が適用されるか、②雇止めに合理的理由があるかという2段階で審査されます。

①雇止め法理の適用には、㋐実質無期雇用と同視される場合ないし㋑雇用継続の合理的期待がある場合があります。そもそも、かかる要件に該当しなければ、雇止めは制限されず、契約期間満了で有期社員との雇用契約は終了します。実務的には、㋐実質無期契約とされる場合は少なく、㋑雇用継続の合理的な期待があったかの有無が争点となるケースが多いと思われます。雇用継続の合理的期待を生じさせるか否か判断するためのポイントは、次のようなものがあり、これらのポイントを総合考慮して合理的期待が判断されます。

〇有期社員の業務内容が基幹業務に及んでいる。

〇更新回数が多い。通算期間が長い(無期転換権が発生する通算期間が5年を超える場合は、合理的期待はかなり高くなる)。

〇契約書がない、初回のみ契約書がある。

〇「よほどのことがない限り契約は更新される」などの使用者側の言動があった。

〇他の有期社員は雇止めされていない。

※ 〇は、合理的期待が発生する・強める方向の事情です。

 

次に、雇用継続の「合理的期待」があると判断され、雇止め制限法理の適用がある場合は、雇止めの合理的期待を打ち消すだけの「合理的理由」がなければ雇止めはできません。

雇止めの合理的理由の判断のポイントは、雇用継続の合理的期待の程度と相関的に判断されるものであり、合理的期待の程度が高くなればなるほど、雇止めの合理的理由も正社員の解雇同様の高度なものが要求されます。

令和6年4月1日からは有期労働契約において、更新上限の有無や内容、無期転換申込機会や無期転換の労働条件について労働条件通知書に明示することとなりましたが、無期転換権の発生を意識した適切な雇止め等の実務対応が今後より強く求められます。

契約期間を半年として雇い入れたところ、雇い入れからまだ2ヶ月目の契約社員が同僚に対する数々の暴言で、職場秩序を乱していることから雇止めを検討している場合は、どうでしょうか。

このケースでは、初回雇い入れの段階であり、使用者側に契約を更新させる言動等の特段の事情がない限り、雇用継続の合理的期待は発生していないものと解され、合理的理由なく有効に雇止めは可能です。そうすると、契約期間満了をもって雇止めを行うのが通常の対応ですが、残り4カ月の契約の満了日を待っていると会社に多大な損害が生じる可能性があります。解雇という事実上紛争の可能性を高める方法をとらずに職場から排除する方法としては、賃金全額を支払ったうえで、自宅待機命令を行うという方法もあります。(岡本)

 

 

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